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形見分け 相続相続税 課税対象遺産相続 千代田区

形見は相続財産に含まれるのか

被相続人が大切にしていたもの、思い出の詰まった品々は、単なるもの以上の価値を持ちます。
しかし、相続においては、その「形見」が財産として扱われ、相続税の課税対象になる場合があります。
感情的な価値と経済的な価値を混同してしまうと、後々思わぬトラブルに発展するリスクがあります。
本記事では、形見が相続財産になるケースとならないケース、そして形見分けを行う際の注意点について、解説します。

相続財産とは

相続財産とは、被相続人が亡くなった時点で所有していた一身専属権を除くすべての財産を指します。
この相続財産には、現金や預貯金、不動産、株式、貴金属といったプラスの財産だけでなく、借金や未払金などのマイナスの財産も含まれます。
相続税においては、これら2種類の財産と加算対象期間内に贈与した財産を合わせて「本来の相続財産」と呼びます。
また、死亡保険金や死亡退職金など、被相続人の死亡によって取得する財産で、民法上の相続財産とは異なるものを「みなし相続財産」と呼び、それぞれ500万円×法定相続人の人数までは非課税となるものの、それを超えると相続税の課税対象となります。
相続財産全体の範囲を正しく把握することが、適正な相続税申告の第一歩です。

 形見は相続財産?

被相続人の思いが込められた形見は、感情的には特別な価値を持ちます。
しかし、税法上は相続財産として扱われる場合があり、相続財産に該当するかどうかは、その形見に経済的な価値があるかどうかで判断されます。
たとえば、被相続人の愛用していた衣類や安価な日用品などは、通常、財産的な価値がないため相続財産に含まれません。
一方で、宝石や高級時計、美術品、希少な骨董品など、市場で売買できるような価値を持つ形見は、相続財産として評価され、相続税の課税対象となります。

 形見分けをするときの注意点

形見分けをするときの注意点として次のようなものがあります。

  • 形見でも相続税の課税対象となる可能性がある
  • 価値のわかりにくい形見の場合鑑定料がかかる

それぞれ確認していきましょう。

注意点①形見でも相続税の課税対象となる可能性がある

形見であっても、宝石、美術品、骨董品、ブランド品、貴金属などは相続税の課税対象となる可能性があります。
形見とされた物の価値が、社会通念上、日常生活に必要な範囲を超えていると判断される場合、相続財産として申告義務が生じます。
たとえば、被相続人が所有していたダイヤモンドの指輪や高価なブランドバッグ、有名作家の絵画などは、相続税の計算に含める必要があります。
もし、これらの財産を申告せずに形見分けしてしまうと、税務調査の対象となり、追徴課税や延滞税などが課されるリスクが高まります。
感情的な価値と経済的な価値を分けて考え、客観的に評価することが重要です。

 注意点②価値が分かりにくい形見の場合鑑定料がかかる

相続財産に含まれる可能性のある形見でも、その価値を正確に判断するのが難しい場合があります。
たとえば、被相続人が趣味で集めていた切手や貨幣、有名ではない作家の絵画などです。
こういった財産は、専門家でなければ適正な市場価値を判断することが困難であり、専門の鑑定士に依頼して評価額を算出してもらう必要があります。
鑑定には費用がかかりますが、その費用は相続税の計算上、必要経費として控除できる場合があります。
不正確な評価によるリスクを避けるためにも、価値が不明な形見については、鑑定を検討することが賢明な選択となります。

 専門の税理士に依頼すべき

相続財産に価値判断が難しい形見が含まれている場合、自分だけで正しく評価し申告するのは困難です。
そのため相続税に精通している税理士に依頼することで、相続財産全体の範囲を正確に把握し、個々の財産を適正に評価でき、申告漏れや計算ミスを防ぎ、後々の税務調査リスクを回避することが可能となります。

 まとめ

形見は、経済的価値がある場合、相続財産となり、相続税の課税対象となります。
価値判断が難しい形見については、専門家による鑑定が必要です。
安易に自己判断で申告を怠ると、後から追徴課税などのペナルティを受けるリスクがあります。
相続財産に価値のある形見が含まれている場合は、税理士に相談することを検討してください。