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実質所得者課税の原則とは?具体例も併せて解説
税法における基本的なルールのひとつに、実質所得者課税の原則があります。
これは、単に書類上の名義や形式的な契約書の内容だけにとらわれず、その財産や所得を「実質的」に支配し、利益を享受している人物に課税するという考え方です。
名義貸しや形式的な取引によって税金を不当に逃れようとする行為を防ぐ目的があります。
この記事では、実質所得者課税の原則とは何か、そして具体的にどのような取引でこの原則が適用されるのかを、事例を挙げて解説いたします。
実質所得者課税の原則とは?
実質所得者課税の原則とは、所得税法や法人税法における課税の基本的な原則の1つです。
税法上の形式的な名義や、表面的な財産の帰属ではなく、経済的実態としてその所得や財産を実質的に支配し、享受している者に課税するという考え方です。
この原則は、課税の公平性を確保するために非常に重要です。
たとえば、財産の名義が他人になっていたとしても、その財産から生じる収益を事実上享受している者がいれば、その収益を享受している者に課税されます。
これにより、名義上の操作や形式的な契約によって税負担を不当に回避しようとする行為を防ぐことができます。
この原則は、所得の帰属だけでなく、財産や取引の実態にも適用されます。
実質所得者課税の原則の具体例
たとえば、土地の賃貸借契約において、賃貸人と転貸人との間には転貸の合意がある上で、土地の名義は賃貸人にあるものの、転貸人が転借人から実質的に収益を得ている場合です。
このケースでは、土地の所有権は賃貸人にあります。
しかし、転貸人が転借人から受け取る賃料収入は、転貸人が土地を利用する権利を第三者に提供したことによる対価であり、実質的な所得です。
実質所得者課税の原則に基づけば、名義上の所有者である賃貸人ではなく、実際に賃料収益を享受している転貸人に所得税が課税されます。
この例では、形式的な所有権の名義にかかわらず、経済的な利益の帰属を重視するという原則が成り立ちます。
まとめ
実質所得者課税の原則とは、所得や財産を実質的に支配し、享受している者に課税するという考え方です。
この原則は、課税の公平性を確保するために重要です。
法人税や所得税の申告でお困りの際は、ぜひ税理士にご相談ください。